関東地区研究会報告2018年2月

多文化関係学会関東地区研究会報告
日時:2月17日 13:00-16:00
会場:成城学園 7号館711教室
講師:小坂 貴志先生(神田外語大学)

テーマ:対話論とは何か―対話的な社会問題の読み解きと対話の意味
報告者:小笠恵美子(東海大学)

研究会は20名ほどの参加者の下行われた。

小坂先生の略歴と共に、対話論を学ばれた頃のアメリカ留学、先生を対話論に導いたDance先生のお話をされ、「対話論」研究の概略の講義の後、「対話」という言葉の定義の試みをされた。現代の社会の、特に外交場面での「対話」に注目して、「対話」の位置づけ、「対話」という言葉の使われ方を幅広く講義された。

イントロダクションとして「対話との遭遇」と題されて、デンバー大学でDance教授の下、ヴィゴツキーを読む経験があったこと、モントレー国際大学院大学で教鞭をとる中、核不拡散研究センターが新聞の切り抜きをしていると揶揄された例を挙げて、言語哲学と共に、「対話」が実際にどのように行われているかの現場の集約の必要性を示された。

前半は対話論の系統が講義された。対話論は、統語論からの脱却を目指したコミュニケーションを中心とする言語学であるとして、Skidmore & Murakami(2016) “Dialogic Pedagogy―The Importance of Dialogue in Teaching and Learning―”の「対話論は言語哲学であり、言語とは何かを理解するにあたり、社会言語的相互作用の現実に中心的な重きを置く。ミハイル・バフチン(1895-1975)の思想ともっとも関連があるが、バフチンサークルのメンバーや、このサークルの直接関係しない研究者の思想によってさらに深く展開することになった」という言葉が紹介された。対話論の系統として、ヴィゴツキー、フレイレといった、発達心理学や教育学における言語「対話」、文学批評の形をとったバフチン、量子力学者の立場からインタラクションの必要性と説いたボーム、メディア論の立場から、各テクノロジーによる人間のサイコダイナミクスに与える影響を示したオング、哲学の立場から宗教の対話を取り上げたブーバーを取り上げ、対話論の幅広さが示された。

後半は、「対話」という言葉の使用場面を考察して「対話」とは何かに迫った。「対話」は①外交②医療③教育の場面で多く使われるが、特に、本講義では、外交場面に注目して北朝鮮外交で使われる「対話」を通して、「対話」と「会談」の違い、双方が歩み寄っていくプロセスとしてEUが示した「対話」の定義とは異なり、「人間の創造物間に認められる差異をたえず創り上げている概念である一方、差異の影響を受け(不)共鳴を繰り返す複数の声を聞き分け、その意味を読み解き、かつ差異によって創り上げられる関係性そのものを表す枠組み」という重層的な対話の定義を提示した。

以上のような講義をもって、基礎研究としての対話(論)の必要性と実践知として認められる「対話」の重要性が示された。

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