2018年度第2回関東地区研究会報告 2019年2月

2018年度第2回関東地区研究会報告

日時: 2019年2月23日(土)13:30-16:00

会場: 成城大学 8号館831教室

講師: 岡部 大祐先生 (順天堂大学)、邵健(しょう・けん)氏(順天堂大学2年)

テーマ:「(多)文化(関係)研究の『砂場』づくりをしてみる」

報告者:武田礼子(成城大学)

2月23日、研究会は成城大学のキャンパスにて行われた。最初に本研究会の進め方の前提となる理論的枠組みの説明が岡部先生より行われた。まずロジェ・カイヨワの遊び研究の分類を拡張的に援用し、即興で受動的な遊び(イリンクス)的な要素を目指した企画であり、その趣旨に沿って参加者が興味深いアイディアを出し、そこから新しい多文化関係のあり方を考えることが提案された。さらにマイケル・ギボンズの「モード論」で言うモードⅡのような、社会的問題を解決する時に生まれる知識を用いる発想を背景とし、非階層的で非均質的に大勢で問題解決に取り組むことに類似する方法で進行する旨の説明がなされた。つまり従来の研究でみられる知識生産が前提とされる学問的知識が作られる方法(モードⅠ)ではなく、境界線が変わる砂場の比喩を用いながら、研究会はこれまでの学会には見られない方法で「面白く」そして「ゆるく」進められた。

次に具体的なイシュー(課題)として、グローバル・ヘルスの説明が岡部先生の指導を受けている学部生の邵健(しょう・けん)氏より行われた。まず参加者が問題意識を持てるよう、WHOの動画やデータを通して、グローバル・ヘルスの中でも大気汚染が人々の健康に影響を与えている状況が示された。続いて本研究会の中核である参加型ワークに移り、その中で「大気汚染による死亡リスクを下げるには?」という課題が参加者に対して提示された。

当日は研究者のみならず、大学院生も含む幅広く多文化を研究テーマとして扱う参加者が集い、「大気汚染による死亡リスクを下げるには?」という課題に沿って、各々10分ぐらい省察し、その後ポストイットにアイディアを書いた。その後、アイディアを共有する時間が長く持たれたが、参加者ひとりひとりが経験や研究テーマに沿って、多くのアイディアを活発に出しあっていく様子は、当初の想定を上回る創造性を刺激する場が作られていった、と言っても過言ではない。

具体的には、大気汚染をネガティブに捉えるのではなく「空気って美味しい」と意識改革を促すことに焦点を当てる、また大気汚染が多い先進国のような極端な方法ではなく、健康アイディアを提案しながら生きていく、など発想の転換の提案がなされた。さらに大気汚染への理解を高めるために、身をもって大気汚染を経験することの提案など、1人の発言や行動が他の参加者を触発するような流れがワーク中に見られた。

最後に岡部先生より再度、砂場の比喩を用いながら、柔軟性がある実験的な取り組みが許されることでこそ、先進的な研究者の育成が進む、と示唆に富むコメントがあった。それが本研究会では委員長ではなく発表者による司会進行、学部生の発表、参加者の立場に関係なく発言を促す環境づくり、また研究会終了後の茶話会ではなく茶菓を嗜みながら進めるなど、2時間の研究会で随所に見られた。

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