お知らせ

以下は、第13回年次大会においておこなわれた牧野英二先生(法政大学文学部教授)の基調講演についての報告です。本来なら、2015年2月発行の第26号ニュースレターに掲載予定の原稿でしたが、編集ミスにより掲載されませんでした。原稿を執筆いただいた灘光洋子先生と基調講演者の牧野英二先生には、大変失礼をいたしました。お詫びを申し上げます。

原稿は、2015年6月発行予定の第27号に改めて掲載する予定をしておりますが、前もって学会ホームページに掲載させていただきます。

(NL編集委員長 守崎誠一)

 

基調講演にこめられた思い

牧野氏がご講演『「他者」に対する社会的排除と差別』で私達に訴えかけたことは何か。様々な事例を参照されながら「歴史」と「文化」のハイブリッド化について語られたなかで、深く印象に残ったのは、「知」の構築に対する批判的まなざしであった。その背景には、福島の記憶の風化、勢いを増すヘイトスピーチ、現政権における単一的な日本文化「幻想」などに対する危機感があり、氏の言葉からは研究者として何をなすべきかという焦りに似た思いが滲む。歴史も文化も複雑な要素が絡みあい、その重層さを簡単に語ることなどできない。にもかかわらず、ある言説が優位に立ち、巷に流布する。そこに潜む政治性に翻弄されないためには、表層的で単純化された物言いに納得することなく、多角的な視点で知識を得ようとする姿勢こそが問われよう。研究者としてどの立ち位置から何を分析しようとするのか、自身の視座に内省的であることは勿論、異なる文化背景や歴史観を持つ人達との領域横断的な共同研究を進めていく気概が求められている。何が異質とされるのか、なぜ排除の対象とされるのかを問い続ける知的体力を持続することの必要性を強く感じた牧野氏の基調講演であった。

(灘光洋子 立教大学)




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